とにかくやるしかない

とにかく、2年生になって、授業に出よう、と思った。

1年生のときは前期・後期とも悪い成績しか取れず、進学振り分けでどこにも入れないどころか、留年してしまうピンチを迎えていた。

これから巻き返すしかない。しかしどうするか。

まずは授業に出て、少しでも分かることをノートに書き留めること。

それから、分かりやすい参考書を探すこと。

 

考えてみると、私は中学・高校時代には、勉強のやり方で苦労することはなかった。

中学時代はそもそも、ほとんど勉強しなくても成績が良かった。

高校時代は全てを丁寧に教えてくれるトレーニングペーパーをしさえすればよかった。

だから、自分で気の利いた参考書を探すという努力を怠っていたのだ。

 

だも、とにかく、分からないところをカバーしなければならない。

そう思った私は、徹底的に参考書を研究しようと考えた。

指定の参考書は不親切で、一生懸命読んでも理解できなかった。私の理解力がなかったのだとは思うが。

でも、もっと分かりやすい参考書が絶対にあるはずだと思った。

東大にある書店は大きかったのだが、あまり分かりやすい参考書がなく(私の思い込みだったかもしれない)、大きな書店に行った。

すると、分かりやすい参考書もいくつかあることが分かった。

私はそれを買って勉強した。授業もまずまず出た。

すると、不思議なことに、だんだん授業が分かるようになってきた。

 

そうして、私は留年寸前から、何とか進学振り分けで、教養学部にある、ある学科に引っかかった。ありがたかった。その学科の基準点自体はひどく低かったが。

そこは理系全般のいろいろな学科を幅広く勉強させてくれる所だった。

数学も、物理も、化学も、生物も・・・・。

まだ方向が決まっていない私にはちょうどよかった。

つまり、モラトリアムを継続できたのである。