医学部入試で高齢の受験生を差別するのは正しいか?

今さら大上段から言うのも恥ずかしいが、今回は高齢者の受験問題について、私見を述べる。

 

御存知のように、医学部の入試では男女差別が問題となった。だが、あわせて多浪への差別も問題となった。

文科省の調査により、得点を加点したり減点したりして多浪生に差別を行っていた大学はやり玉に挙げられた。

 

大学側の言い分にも一理ある。

何年も浪人しなければならないくらいの能力では、医学部の高度な授業にもついていけないし、医師の国家試験にも受からない。

また、何年も浪人して年をとった学生は、卒業してから医師として働ける時間は限られている。そのために多額な経費を出して医師を育成しても割に合わない。

 

もっともな話である。

ただ、私は、10浪とか、30歳くらいまでは、試験で差別を行わないことに賛成である。

というのは、彼らには、そこまでしても、何としても医師になりたい、という情熱があるから。

そして、その情熱があれば、医学部に入ってからも、いくら理解が遅れても、真面目に取り組み、たとえ何年か留年することになっても、絶対にあきらめずに卒業し、国家試験にも、何回もチャレンジを繰り返し、最後には受かると思うから。

何よりも、そうして自分自身が苦労した経験があれば、頭のよさを使って、またカッコよさだけを求めて医者になった人たちと違い、決して患者を馬鹿にしたりせずに、誠実に対応できる医者になってくれると思うから。(これは私の希望的観測だが。)

 

医者というのは、大勢の患者を診るとその場その場での瞬時の判断力は必要だと思う。頭のよい医者はその点効率が良い。

だが、面倒くさがらずによく患者の話を聞き、じっくりと慎重に、根気よく対応していくことも必要だと思う。ある意味、医師には愚鈍な面も必要なのだ。

そんな根気のある、自分のことは患者の気持ちになれる医師になるには、多浪の経験は決してマイナスではないのではないか。

(確か天皇陛下の手術をされた天野先生は3浪して日大に入ったと聞いている。)

 

ただ、自分のことを否定することにもなるが、これは、私のように超高齢の受験生には当てはまらない。

いくら情熱があろうが、しょせん医師としての活躍期間はすごく短くなるからである。特に国立大の場合は、そのために貴重な国民の血税を無駄に投資するわけにはいかない。

それに、高齢で大学に入っても、なかなか大学教師も指導しにくいだろう。

なんせ、自分より年齢が上の生徒を教えるのだから。びしびしと厳しいことは言いにくいと思う。

そして、国家試験に通ったとしても、その後の研修先が見つからない。お荷物扱いになるだけだ。

そして、研修等でも、宿直とか、ハードなことはやりにくい。すぐに病気になり、死んでしまうかもしれない。

また、患者だって、格好だけは老人なのに、知識は新人並みにしか持っていない医者には決してかかりたいとは思わないだろう。

 

私はかつて、最高難度のT大の先生に、たとえば私が医学部を受けたらどうかと聞いたことがある。当時はT大では面接はなかった。

だがその先生は、言下に、その場合は会議が招集され、年齢的に不合格の判定になるだろう、と言われた。

 

また、九州地方のK大の先生からは、

「自分は試験委員をやっているが、貴方が自分の大学を受けたとして、成績がぎりぎりならば箸にも棒にも引っかからない。よほど上位であればやっと検討の俎上にに上がるだろう。」と言われた。

 

この他、私が噂に聞いたところによると、私のような超多浪ではないにせよ、浪人生は苦しめられている場合が実在する。

最難関のK大では、面接で浪人の年数に10点をかけた数を総得点から引くのを暗黙の了解にしているとのこと。

九州地方のO大では、多朗の人が面接点200点のところを0点にされたとのこと。

等、ディスアドバンテージはそれなりにあるのだ。

ただ、今回の文科省調査で、そのような実態が引っかかるかどうか分からない。

数値化されたルールではなく、1人1人の面接で、受け答えが適切ではなかった、ということで減点されたことにされてしまいそうだから。

それにしても0点は酷いが・・・・。

 

しかしである。自分で言うのもナンだが、私のように超高齢者に対しては、かなりの減点をして、当然である。

それは上記で述べたような、医師としての活躍期間、指導のしにくさ、研修先の見つけにくさ、体力的な問題、患者の印象の問題、さまざまな理由である。

だからこそ、超高齢受験生にはかなり減点をする、大賛成である。

 

ただ、私としては、そのような減点方式を、しっかり明示してもらいたい。何点引きでもいい。

もし、高齢な受験生が、それでもなおかつ医者になりたい、という強い希望を持っているならば、そのような減点による不利を跳ね返し、優良な成績で受かろうとするだろうから。

また、そうしたハンディキャップを乗り越えて受かったような受験生は、絶対、死ぬ気で勉強すると思うから。(死んでしまうと元も子もないが。)

100人高齢者がいると、その中で数人は、いくら年をとっても元気で何十年も現役時代と変わらぬ活動を続けていける者もいる。

そういう高齢者に、私はなりたい。(たとえ年寄りの●●●と呼ばれようが。)