東大理ⅢでA判定!

さて、私が東大理Ⅲの受験も併せてやろうと決意したのは、確か3月頃だったと思う。

まず、ものは試しにと、模試を受けてみた。駿台河合塾だったと思う。

当時はセンター試験ではなく共通一次と呼ばれていたが、それはとても簡単なものだった。それに東大は共通一次と二次の配点割合は1対9と、圧倒的に二次試験に傾斜配分していた。

だから私は共通一次は一切眼中になく、二次試験用の記述模試に絞って受けた。

 

しかし、全くできなかった。

時間も足りなかったし、ケアレスミスもいろいろあった。

ショックだった。こんなにもできないとは思わなかった。大学にいる間に相当頭が悪くなったのだと思った。

採点結果が返ってきた。

ひどい点だった。志望校別の合格可能性を見ると、東大理Ⅲはおろか、理ⅠですらE判定だった。

 

このため、私は猛烈に勉強した。

むしろ、悪い点をとったことでやる気が出た。

不思議なことに、勉強がひどく楽しかった。

院試の勉強に飽きたら大学入試の勉強、それに飽きたら院試の勉強。

息抜きが勉強だった。

実は私が今回、医学部入試と司法試験の両方を受験しようと思ったのは、この時の経験があったことが大きい。

家庭教師を何件かかけもちした。勉強漬けだったが、教え子たちと話をするのもいい気分転換だった。

 

すると、私の成績は、みるみるよくなった。

数か月経った。理Ⅰの合格率はC判定、B判定と上昇していった。だが理ⅢはE判定か、せいぜいD判定のままだった。

しかし、翌年の院試が直前に近づいた、夏休み明けに受けた試験では、確かな手てごたを感じた。

そして戻ってきた成績を見た。理ⅢA判定だった。

私は全国でも相当上位にランクされていた。50番くらいだったろうか。あまり覚えていない。

今では個人情報保護法の関係でどうか分からないが、成績上位者は資料集に名前が掲載される。その最初の1行目に私の名前が載ったのだ。

私は、頭が本当に良くなったなあと感じた。

 

しかし、とにかく院試は近づいていた。私にとってはこちらの方が本命だった。

私と同じ学科で、その学科の上の大学院に進学した者たちは、やめといた方がいいんじゃないかと、私に忠告した。

確かに、1年目に無謀な受験をした私が、また落ちると皆もたかをくくっていたようだ。

しかし、周りからけなされたり、馬鹿にされたりすればするほど、私はやる気が出る性分だった。

そして、院試の日を迎えた。