9月の終わりの状況(その1)

さて、その後はまずまず順調に進めてきた。この日記もだんだん現在に近づいてきた。

9月の終わりの時点での状況を述べる。

 

(医学部受験)

・数学 

カード式で数ⅠA、数ⅡB、数Ⅲの問題をやり続けていた。

正確に覚えていないが、たぶんこの時点で1周分がちょうど終わったくらい。簡単な問題は、あっという間に解けた。紙に書かないで眺めるだけだからいい加減かもしれないが。でもこの方法だと1日に1時間弱で20問くらいは進む。分からない問題はざっと眺め、カードの一番最後に追いやる。するとしばらく経ったらもう一度回ってくる。分かった問題はどんどん、取り除いていく。すると、9月末の時点で最初1,000問の問題が、半分の500問くらいになっていた。

ただし、これからが本番である。理解できない問題は、相変わらず分からない。でも、そうした問題は何度も繰り返し出てくる。いつかは解けるようになるだろうことを夢見ていた。

 

・化学

これもカード式で理論、無機、有機の問題をやり続けていた。

これは、2周分くらいが終わったところだった。500問が350問くらいになっていただろうか。数学に比べ、一回でなかなか進まなかった。また、1枚の紙に1問1答式の問題が20問くらいあるものが60枚ほどあり、それは全部正解にならないともう一度というやり方をとっていたため、なかなか枚数が減らなかった。

 

・物理

これもカード式で力学、波動、電磁気の問題をやり続けた。

物理はさすがに紙に書かないと分からない。だからあまり進まなかった。それでももともと問題数が150問くらいだったので、9月末の段階で100問くらいになっていた。

 

・地理

センター試験の過去問を1、2題ずつ解いては、村瀬を復習することを繰り返していた。

すると、ぼうっとしていたところが、次第に分かるようになってきた。問題が頻繁に出てくるところは何度も読み返せたので、より理解が鮮明になった。何となく、自信が少しだけ出てきた。

 

・漢文

漢文のゴロゴ。

句法をしゃれで覚えるのにしゃかりきになった。本を半分くらい読み終えた。だが、句法はすぐ忘れる。問題を解きながら復習した。

 

・古文

古文単語のゴロゴをカード式にして覚えていた。「ゴロゴ」という名のとおり565枚ある(正確には1単語で2枚分のものもあり、もう少しあった。)

受験老人は記憶力は全く衰えている。2度目に出てきた単語が、全く新しいもののように感じる。何とかゴロを見て楽しもうとした。それでも、一日に50~60枚くらいずつ読み、ちょっとずつ対象を広げていった。、まだほとんど減らなかった。

 

大学受験だけでこれだけあった。しかし、大学受験は1度とった杵柄。まあまあ楽しみながら進めることができた。

唯一、気がかりなのが英語。これをどうするかという問題がまだ残っていた。

 

しかし、私にとっては、医学部入試よりも、司法試験の予備試験の方がはるかに高いハードルに思え始めた。

以下、次回。

医学部入試で高齢の受験生を差別するのは正しいか?

今さら大上段から言うのも恥ずかしいが、今回は高齢者の受験問題について、私見を述べる。

 

御存知のように、医学部の入試では男女差別が問題となった。だが、あわせて多浪への差別も問題となった。

文科省の調査により、得点を加点したり減点したりして多浪生に差別を行っていた大学はやり玉に挙げられた。

 

大学側の言い分にも一理ある。

何年も浪人しなければならないくらいの能力では、医学部の高度な授業にもついていけないし、医師の国家試験にも受からない。

また、何年も浪人して年をとった学生は、卒業してから医師として働ける時間は限られている。そのために多額な経費を出して医師を育成しても割に合わない。

 

もっともな話である。

ただ、私は、10浪とか、30歳くらいまでは、試験で差別を行わないことに賛成である。

というのは、彼らには、そこまでしても、何としても医師になりたい、という情熱があるから。

そして、その情熱があれば、医学部に入ってからも、いくら理解が遅れても、真面目に取り組み、たとえ何年か留年することになっても、絶対にあきらめずに卒業し、国家試験にも、何回もチャレンジを繰り返し、最後には受かると思うから。

何よりも、そうして自分自身が苦労した経験があれば、頭のよさを使って、またカッコよさだけを求めて医者になった人たちと違い、決して患者を馬鹿にしたりせずに、誠実に対応できる医者になってくれると思うから。(これは私の希望的観測だが。)

 

医者というのは、大勢の患者を診るとその場その場での瞬時の判断力は必要だと思う。頭のよい医者はその点効率が良い。

だが、面倒くさがらずによく患者の話を聞き、じっくりと慎重に、根気よく対応していくことも必要だと思う。ある意味、医師には愚鈍な面も必要なのだ。

そんな根気のある、自分のことは患者の気持ちになれる医師になるには、多浪の経験は決してマイナスではないのではないか。

(確か天皇陛下の手術をされた天野先生は3浪して日大に入ったと聞いている。)

 

ただ、自分のことを否定することにもなるが、これは、私のように超高齢の受験生には当てはまらない。

いくら情熱があろうが、しょせん医師としての活躍期間はすごく短くなるからである。特に国立大の場合は、そのために貴重な国民の血税を無駄に投資するわけにはいかない。

それに、高齢で大学に入っても、なかなか大学教師も指導しにくいだろう。

なんせ、自分より年齢が上の生徒を教えるのだから。びしびしと厳しいことは言いにくいと思う。

そして、国家試験に通ったとしても、その後の研修先が見つからない。お荷物扱いになるだけだ。

そして、研修等でも、宿直とか、ハードなことはやりにくい。すぐに病気になり、死んでしまうかもしれない。

また、患者だって、格好だけは老人なのに、知識は新人並みにしか持っていない医者には決してかかりたいとは思わないだろう。

 

私はかつて、最高難度のT大の先生に、たとえば私が医学部を受けたらどうかと聞いたことがある。当時はT大では面接はなかった。

だがその先生は、言下に、その場合は会議が招集され、年齢的に不合格の判定になるだろう、と言われた。

 

また、九州地方のK大の先生からは、

「自分は試験委員をやっているが、貴方が自分の大学を受けたとして、成績がぎりぎりならば箸にも棒にも引っかからない。よほど上位であればやっと検討の俎上にに上がるだろう。」と言われた。

 

この他、私が噂に聞いたところによると、私のような超多浪ではないにせよ、浪人生は苦しめられている場合が実在する。

最難関のK大では、面接で浪人の年数に10点をかけた数を総得点から引くのを暗黙の了解にしているとのこと。

九州地方のO大では、多朗の人が面接点200点のところを0点にされたとのこと。

等、ディスアドバンテージはそれなりにあるのだ。

ただ、今回の文科省調査で、そのような実態が引っかかるかどうか分からない。

数値化されたルールではなく、1人1人の面接で、受け答えが適切ではなかった、ということで減点されたことにされてしまいそうだから。

それにしても0点は酷いが・・・・。

 

しかしである。自分で言うのもナンだが、私のように超高齢者に対しては、かなりの減点をして、当然である。

それは上記で述べたような、医師としての活躍期間、指導のしにくさ、研修先の見つけにくさ、体力的な問題、患者の印象の問題、さまざまな理由である。

だからこそ、超高齢受験生にはかなり減点をする、大賛成である。

 

ただ、私としては、そのような減点方式を、しっかり明示してもらいたい。何点引きでもいい。

もし、高齢な受験生が、それでもなおかつ医者になりたい、という強い希望を持っているならば、そのような減点による不利を跳ね返し、優良な成績で受かろうとするだろうから。

また、そうしたハンディキャップを乗り越えて受かったような受験生は、絶対、死ぬ気で勉強すると思うから。(死んでしまうと元も子もないが。)

100人高齢者がいると、その中で数人は、いくら年をとっても元気で何十年も現役時代と変わらぬ活動を続けていける者もいる。

そういう高齢者に、私はなりたい。(たとえ年寄りの●●●と呼ばれようが。)

 

勉強時間が足りないっ!

医学部入試については、数学、物理、化学、地理の4科目を続けてきたが、9月になると、次第に焦り始めた。

つまり、このまま、この4科目しかやらずに、そのまま来年1月のセンター試験に突入してしまうのか、ということ。

 

まだやっていないのが国語(現国、古文、漢文)と英語。

まあ、現国は素で解けば何とかなる。(といっても3月にセンターの過去問を解いたときはガタガタでどれもこれも選択肢は紛らわしいものばかりだった。)

それから、英語は、かつて何万時間も勉強してきた。(といっても同様に過去問ですごく間違っていた。慣れれば何とかなるかもしれないが。)

しかし、古文と漢文、これらは全く記憶が抜け落ちている。絶対、センターまでにマスターしておかねばならない。

 

だが・・・・今までの勉強時間では、とうてい無理。

しかも司法試験で民事訴訟法の勉強を新たに追加したため、1日の勉強時間は4時間半になったところだ。せいぜい、やれて5時間くらいだろう。

 

だが、何とかなるはず・・・・。そうして、私は考えた。

「科目と科目の間の休憩時間を少し減らそうっ。」

 

今までは1科目を30分やる都度、小説を読んだり、お菓子を食べたり、テレビを見たりで、30分ずつ費やしていた。

結局、通勤時間中の勉強時間が2時間程度、家での勉強時間が2時間程度という、まだまだ緩い計画だった。

 

家での勉強時間を4時間に増やせばよい。それが私が得た結論だった。

なんせ、私は年をとったせいか、夜は苦手なのだが、朝は5時くらいに目が覚める。

それから出勤までの2時間半〜3時間をみっちりやれば、夜の勉強と合わせて十分、家での4時間は確保できる。

しかも、朝は元気なので、ほとんど休まずに勉強を4、5科目できる。

なお、休憩代わりにブログを書いたり他の人のブログを見ればよい。

 

そうして、私は、漢文と古文の勉強に取りかかった。

もうあまり時間がない。また子供たちに頼った。

とりあえず、漢文は句法、古文は単語をマスターすることが重要だ、と教わった。

そしてブックオフで買ったのは以下の参考書。

・板野博之「漢文ゴロゴ」

・板野博之「古文単語ゴロゴ」×2冊

・三羽邦美「漢文一問一答」

 

板野のは、2冊ともゴロで覚えるやつだった。

このうち古文単語を見て「おっ面白い・・・・」と思った。

ずいぶん昔からあるのだろう。古文単語のゴロは昔の人たちが載っていて面白い。

「あらま〜星一徹理想的」(あらまほし)

大橋巨泉ますますいらっしゃる」(おはします)

「長嶋無理にもの思う」(ながむ)

 

しかし、今でもしっかり活躍している人たちもいる。

えなりかずき優美だ」(えんなり)

「所、牛になるのはつらい」(こころうし)

「打つ打つイチロー現実だ」(うつつ)

 

・・・・思わず拍手を送りたい!

 

なお、私はこの古文単語については、数学や物理や化学と同様、カード方式で覚えることにした。

すなわち、A4の用紙を4等分して、そこに1つの単語ごとに張り付けるのである。(本には裏表があるので2冊買わねばならなかったが。)

そしてA4用紙の裏には古文単語を書いておき、その単語を見て、ゴロと意味を言い、裏を見て確認するのである。

できたものはカードの山から除いていく。

 

大変だが、楽しみながら覚えていこうっ。

やっと司法試験は第5科目目に突入

さて、司法試験予備試験である。

短答式試験に必要な科目は御存知のとおり、7つある。

憲法行政法民法民事訴訟法、商法、刑法、刑事訴訟法

 

このうち、私は4月終わりから勉強を始めていたものの、8月終わり頃まで、4科目しか手を付けれていなかった。

すなわち、憲法行政法民法、刑法の4科目である。

これらは公務員試験の科目でもあるため、その参考書で代用していたのである。

 

だが、それ以外の3科目(商法、民事訴訟法、刑事訴訟法)はそうはいかない。

ブックオフで、資格試験用の参考書のコーナーを探しても、どこにもない。

そこで、別のコーナーを探すと、「法律」というコーナーがある。ここにはあるかもしれない。

だが、憲法民法はあれど、この3つの法律はどこにもない。

特に、「会社法」はあるが「商法」はない。

もしかして、会社法と商法とは同じ法律か?? そう疑った。

あわててネットで調べると、昔は商法の中に会社編として含まれていたが、その部分が大きくなりすぎて独立して会社法という法律として切り離されたとのこと。

ああ、そんなことも知らなかったのか・・・・。

 

まあ、とにかく気を取り直して、いろいろなブックオフを回った。通勤定期の沿線上と、家から車で回れるところを。合計10店舗くらい回っただろうか。

すると、中にはこれらの法律関係の本を置いているところもあったが、分厚くて読む気が一挙になくなるものが多かった。それに値段が高かった。

そして、やっといくつかゲットした。

伊藤真民事訴訟法入門」

伊藤真刑事訴訟法

・柴田孝之「入門商法」

これらは語りかけるようなやり方で進められ、しかも特に上の2冊は厚みが薄かった。これなら2か月以内で読み終えれそうだ。

 

ただ、受験老人の勉強時間は限られている。

だが既に刑法は一通り終わって問題演習に移っているので、何とかもう1科目始めたい。

そして、とりあえず民事訴訟法をやることにした。晴れて5科目目に突入である。(医学部入試用の科目を加えると9科目。)

その代わり、勉強時間は4時間半になった。

私のモットーとして、たとえ勉強時間は少なくても、毎日やる、ということが基本なので。

ちょっと家でのムダな時間を節約せねばならぬ・・・・。

地理を読み終えたっ!

8月の終わりになり、地理を何とか一通り、読み終えた。

5か月もかかった。というのは、分からないところはもう一度前に戻って、勉強していたからだ。

それに、瀬川と村瀬という、2種類の参考書、計4冊分を同時並行で進めていくのも大変だった。

 

でも、これらを一緒にやったおかげで、まず瀬川でとっかかりを作り、村瀬で全体を網羅しつつ覚えることができた。

そして、読めば読むほど、村瀬の参考書のすばらしさを実感した。これだけではダメだが、必須の参考書として強くおススメしたい。

 

ただ、センター試験用には、まだ全然ダメだろう。なぜなら問題演習をやっていないからだ。

瀬川は問題に沿って知識を覚えさせるが、村瀬には問題演習が全然ついていないのだ。

 

そして、私はいきなりセンター試験の過去問を解くことにした。(子供たちが使っていた科目別の赤本。)

地理は変化の激しい科目である。時間の流れにより、ずいぶん状況が違ってきている。中国の台頭やEUなどが原因だ。

だから、1990年代は古すぎ、2000年くらいから始める必要がある。

 

そうして、私は試しに1年分解いてみた。

そして、ちょっと嬉しかった。自分が知っていることが結構あるのである。

5か月前は、知識がゼロだった。何を読んでも、ちんぷんかんぷんだった。

今回は、とりあえず、読んで、理解できるのである。

 

ところが・・・・やはり、一筋縄ではいかない。

どの選択肢も、紛らわしいのである。

たとえば、正しいものを1つ選べという問題だった場合、5つの選択肢のうち3つまでは間違いと分かる。

ところが残り2つで迷いに迷うのだ。どちらを選ぶかはまさにサイコロを振るしかない。

 

結局、私の得点は、50点ちょっとだった。まっ、受験生の平均点より少し下か。

・・・・しかし、仕方ない。5か月でこれなら上出来だろう。そして問題演習はこれが始まりなのだから。

 

そして、その日以降、私の勉強のスタイルができた。

まず問題を解く。1問か2問。それを答え合わせする。

そして、その後、瀬川と村瀬の参考書から、問題に関係する部分をもう一度読み直す。だいたい10ページほど。そして理解する。

これがひどく勉強になった。

 

毎回、問題を解き、その後、それに関連したところを読む。それを毎日続けたのだ。もちろん1日30分の範囲で。

最初から順番ではない。問題に沿ってアトランダムにだ。

すると、同じテーマの問題が出てきた場合には、参考書で同じところを読み直せばよい。その都度。

そうすることで、試験の各テーマの出題の多少により、参考書で何回も読み直すところが出てくる。

こうして、最初は読み飛ばしていたような箇所だが、何度も読み直していくうちに、次第理解でき、頭の中で全体の整理ができていった。

 

これは私にとっては法外の喜びだった。何となく、地理については、やれるっという自信が出てきた。

(といってもどこまで伸びるか分からないが。)

セコすぎる話(ゼロ円勉強法)

私こと受験老人は、参考書等をブックオフで買うことを基本にしている。

高い金を払って新品を買っている方々からすると、セコい話だが、まあこれをモットーにしているのだから仕方ない。

しかし、さらにセコい話がある。

 

ブックオフにも、高い本と安い本がある。私が買うのはだいたい100円か200円の本だ。

そうではない本は、やたらと高くなる。だいたい半額が基本。定価が1,000円なら500円だが、定価が2,000円なら1,000円で売られている。

だが、それは受験老人にはチト厳しい。何とかならないか。特に司法試験の本はやたら高いと思うので。

 

しかし、私はある時、私の子供から、ブックオフで本を買う時は、必ず、書き込みがないか探せ、と命じられた。

つまり、書き込みがある場合、それを指摘すれば、高い本でも100円で買えるというのだ。

ラッキー。

 

それ以来、私はちょっと欲しい高めの本があると、買う時に店員さんに指摘した。「あの〜ここに書き込みがあるんですけど、安くしてもらえませんかぁ〜。」

すると店員さんは、いかにも申し訳なさそうな顔をして、「ああ、そうですか。本来ならお売りすることはできない本ですけれど、100円でも買ってもらえたら・・・・。」

しめしめ、高い本を100円でゲットできたぁ。私はニンマリするのだった。たぶん店員さんも、心の中では憎々しいと思っているのに違いないが。

 

ところがこの方法、いつも成功するとはかぎらない。結構高飛車な書店(どちらが??)もあるのである。

どんなに書き込みがあり、こちらがどんなに食い下がろうとも、それは店の方針ですので、と譲らない。私はやむなく買うのをあきらめるのである。

でも、そうした書店はきまって、客の入りが悪い。閉店したところもあった。本当に相関関係があるのかどうか分からないが・・・・。

 

しかしとにかくこの方法は、特に参考書の場合はありがたかった。書き込みがある場合が多いので。特に最初の方のページに。

そうして、セコくやるやり方を身につけてしまった。安上がり勉強法である。

 

しかし、実は、それよりもさらにセコいことをしてしまった・・・・

 

3月の終わり頃のこと。日曜日の朝、私はいつものようにゴミ出しをしていた。

日曜日は、紙ゴミの日である。私も紙袋に入れたチラシや紙類を持ってゴミ集積場へ向かった。

そして、ゴミを置いたところ、おおうっ・・・・

 

そこにあるゴミの山には、いっぱいいろいろな参考書や問題集の入った本の束が置かれていた。

おそらく、受験が終わった者が、後くされなく、それまで自分が使った本をまとめてゴミに出したのだろう。

これまで、受験を考えていなかった時には、そんなものは、目に留まらなかった。

しかし、今やできるだけカネのかからぬ受験を考えている我が身には、それは宝の山だった。

特に、センター試験の模擬試験の問題集が何冊かあるのを目ざとく見つけた。

 

ううっ、これ欲しいっ。センター試験用に絶対役に立つ。

私は思わず周りを見回した。

誰も来ていない。ようっし。覚悟を決めた私は、その何冊かをすばやく取り、何食わぬ顔でその場を立ち去ったのであった。

だが、内心ひやひやだった。ものすごく悪いことをしているような気がしたのだ。

 

・・・・TOKIOの「ゼロ円食堂」ならぬ「ゼロ円勉強法」である。しかし、あまりにセコすぎるかも。

 

・・・・ただ、その時は何も思わなかったが、今や予備試験を目指す身である。

とりあえず、所属する自治体に条例等の禁止が謳われているかどうか調べた。だが、そのような項目は見つからなかった。

また、私の住んでいるところはマンションの一角であり、ゴミ集積場もその中にいくつか設置されている。

規則を調べたが、そんな記載はなかった。まあ、そんなことをする人は想定していないのかもしれない。

 

だがだが・・・・さらに考えた。

このような本の中には、書き込みがあるかもしれぬ。もしそれを書いた本人が、自分の書き込みをしたものを、他の人が勝手に使っているのが分かったら、何と思うか。

それを考えると、私は二度と、こんなことはすまいと思ったのだった。

それに、他人のフンドシで相撲をとって、たとえ万一合格したとしても、絶対に後味が悪いだろうから・・・・。

とにかくやるしかないっ?!

さて、司法試験予備試験短答式試験の過去問を見て、大いに打ちのめされた私だったが、とにかく何とかしなければと考えた。

 

刑法は、現在勉強している他の科目(憲法民法行政法)と違って、寺本のインターネット講義がない。

だから、自分で勉強するしかなかったのだが、やはり、それは独りよがりになり、理解も完全ではない。

そこで、この刑法について、何とか無料講座が見られないか、ネットを探し回った。

 

そして、「塩浜法律教室」というのが無料で見られ、16回分あることが分かった。

実はこの講座、司法試験の勉強を始める前、1年間の勉強の計画を立てていた時も、あるのが分かっていた。

だが、他の講座に比べ、年配の先生(といっても私と同じくらいの年か?)が自分の趣味であまりメリハリのないやり方で教えているような気がした

音声も不明瞭で、実に分かりにくいと感じ、はなから相手にしていなかった。

 

だが、とにかく何かを見たかった。司法試験の問題を解くためにはネコの手でも頼るしかない(大いに失礼!)。

まっ、次に向けての1クッションくらいにはなるだろうと、ぼうっと見始めたのだ。

 

・・・・だが、ある程度知識を身につけた今回、改めてそれを見ると、なんと、結構分かりやすいことが分かった。

先生のちょっととぼけたところも一息入れることができ、ちょうどよかった。一挙に見ることができた。

要は、人の感覚なんて、いい加減なのだ。良い教師はどんな生徒にとってもよい教師ではないように、同じ生徒に対してでさえ、その生徒の発達の段階や、その時の気持ちによってもよかったり悪かったりするのである。

だから、おそらく良い教師というのは、生徒によって、又は同じ生徒でもその時の状態に応じて柔軟に教え方を変えることのできる教師なのだろう。(もっともネット講義だと、そんなことできるわけはない!)

 

とにかく、刑法に関しては、それを一挙に見終えた。

それから、次に、ブックオフでたまたま購入していた、ちょっと簡単な、10日間ほどでざっと見られる刑法のポイントまとめのような本を買った。そして、それをやり終えた。

 

それから、同じくブックオフで購入した「20日間で学ぶ刑法の基礎」というのをやることにした。これも公務員試験用である。

司法試験の過去問をやりたいのだが、私にとってはまだ先の話だ。とにかく、今の実力にあったもので地道に力を付けるしかなかった。

 

ただ、私が思ったのは、なんにせよ、1つの本を、一通り終えることができれば、とりあえずは安心だということだ。

私が尊敬する鈴木健二さん(大昔、NHKでアナウンサーをされていた。今はどうしていらっしゃるだろうか。)は、あるテーマについて調べるとなると、いつも机の上にいっぱい関連資料を積み上げた。

そしてまず1冊、読んでしまう。理解はほとんどおぼつかないが、とりあえず1冊読むのである。

次に、同じような別の本を読むと、1冊目の本と重なっているのでよく分かり、そこの部分は強化されるとともに、1冊目になかった知識は新鮮なものとして覚えられる。

それを3冊目、4冊目・・・・と続けていくことで、理解がどんどん進み、ついにはテレビの本番前にはほとんど専門家になっていた。

・・・・そのために、彼はあの超忙しいスケジュールの中で、1週間に何と、30-40時間も読書時間を確保していたのである。(たぶん池上彰さんなども同じやり方ではないか?)

まっこれは一般的な勉強法なのかもしれないが、私もそれに倣っている。

 

とにかく、こうして刑法の2冊目を、問題を中心にやり、不明な部分を最初の参考書「郷原の刑法」で読み直しすることで、学説の違いなども含め、まあまあ分かるようになってきた。

この調子で、残り6科目も早く、1とおり終わらせてしまいたい・・・・そう思った。

だが、間に合うのだろうか???