大阪城勉強法

受験老人は先日、用があって大阪に行った。

大阪には万博以来、何回か来たことがあるが、あまり大阪の名所には行っていない。

今回は仕事ではなかったため、比較的時間があった。そこで、まだ行ったことのない場所の一つ、大阪城を見に行くことにした。

 

宿から電車に乗って天満橋で降りた。

地上に出て角を曲がった。すると、早くも遠くに城が浮かび上がった。それは緑色に燦然と輝いていた。

 

さて、ここからが受験老人の本領発揮だ。リュックから1科目目を取り出すと、それを読みながらのウォーキングを始めた。

もう12月だ。空は太陽が雲間から顔をのぞかせていたが、風はあくまで冷たかった。

城の周りには巨大なお堀が広がっている。これを一周すると皇居より広いのではないかとも思われた。(実際にどうなのだろう?)

ここをランニングする人たち、散策する人たちがいるのは皇居と同じだった。

そんな中でも受験老人は異色を放っていた。つまり歩きながらの勉強である。

 

外濠を歩いていると、より内側に入るためのゲートがあった。真正面に大阪城が見えている。とりあえず入ってみることにした。

すると・・・・いるわいるわ、芋の子状態に人々がひしめき合って歩いていた。修学旅行の学生や外国人の団体が目についた。

仕方なくいったん勉強中止。前を向いて歩く。

 

大阪城の真正面に出た。おおうっ、天守閣が秋空にそびえ立っていた。すごい眺めだ。消失したため再建されたというが、これまで私が見たどんなお城よりも立派に見えた。

大河ドラマの「真田丸」や、好きな作家である万城目学の「プリンセス・トヨトミ」や「とっぴんからりの風太郎」などが思い出された。

ここに来たからには皆、天守閣に上って眺めを楽しみ、美術館を楽しみ、さらに土産物等を物色するのが典型的だろう。

だが、どっこい受験老人はそうはいかない。金をかけずに楽しむのだ。

 

お濠を見下ろすところに石のベンチがあり、そこに座って2科目目を始めた。

お濠がずいぶん下に見えた。これなら船に乗って侵入しようとしても、岸について上がってくる途中で弓矢の餌食になっただろう。大阪城が難攻不落と言われたゆえんだ。

風が気持ちよく、そこにしばらく寝そべった。

そして、私は城から離れ、内濠に沿って歩いていった。とてもいい散歩道である。

道に沿って生えている銀杏やその他の木も黄色や赤色に色づき、とても綺麗だった。

ああ、こんなところを毎日散歩できたらなあ・・・・と思いつつ、まっ自分には皇居周りがあるかと思い直した。

 

その後、3つ目の科目をやりつつ、外濠からずっと歩いて京橋まで行き、そのまま宿へ戻った。

宿泊している部屋からのドアtoドアで計4時間程度の工程。まあまあ楽しく勉強が進んだのだ。