スランプ脱出

私は次の日から授業中に質問をすることにした。

私にとって幸いだったのが、できない生徒と違い、自分は極めてよくできる生徒だったことだ。

だから、質問はいくらでも考えることができ、先生の答えに対してさらに疑問を呈することもできる。

 

ええい、ままよと手を挙げた。「先生、質問があります。」

その声も震えた。いつものように、私の心臓は早鐘のように鳴りはじめた。

だが、今度こそ、絶対に逃げないぞ、という覚悟がその時の私にはあった。

先生は、おや、珍しいなという顔をしつつ、私を当てた。

そして私は話し始めた。

 

私の話したこと・・・・それは質問というより、自説の主張だった。

おや・・・・不思議なことに、やや声は震えてはいるものの、なぜか気持ちいい。

自分で自分の言っていることがよく分かる。

いつものように、先生から順に当てられて、自分が何を言っているのかも分からないまま、ドキドキでパニックに陥ってしまうのと全然違う。

私は何と、質問で15分くらいを使ってしまった。

まあ、他の生徒や、先生にとってはいい迷惑だったろうが。

 

私は席に着いた後、興奮していた。だがそれは、気持ちのいい興奮だった。

自分が考えたことを成し遂げる、それはこれまでにあまり経験したことがないことだった。

そしてその後、私は調子に乗ってそのような方法を3、4度続けた。

すると・・・・震えは全くなくなったのだ。

今までのことがウソのようだった。私は何とか自分の症状を克服できたのだ。

 

私には大きな自信がついた。

自分が嫌なことに対し、決して逃げないこと。

むしろ自らそうした機会を求め、取り組んでいくことがいかに大切であるか。

初めて分かったような気がした。

 

もちろん、他の人たちから見たら、アホみたいなことに違いない。

もしかして、私がひどく緊張していたことなど、気づいていない者も多かったかもしれない。

でも、要は逃げないこと。積極的にチャレンジしていくことである。

そして、やりとげることだ。

 

今回の医学部と司法試験への挑戦は、その延長上にあるのかもしれない。

馬鹿だと思うかもしれないが、私なりの一つの挑戦なのである。

 

(なお最近は、私のように対人恐怖に陥った人のために、無料で参加できるようなサークルもいくつかできている(トーストマスターズ等)。本当は、学校がもっと積極的に取り組んでいくべきだと思うのだが。)