勇気を出せ!

その本を読み進めていくと、著者が不思議な夢を見たことが書かれてあった。

お父さん、お母さん、ごめんなさい。

そうして何度も何度も自分が謝っている姿である。

 

著者は、対人恐怖症に苦しみ、それを克服するためにいろいろな修行をした。

だがそれらはいつも中途半端に終わっていた。

直接やらねばならないことと向き合ってはいなかった。

自分はいったい何をやっていたのだろう。

結局、苦しみから逃れようとしていただけではないか。

やらねばならないことはほかにある。

 

そう思った著者は、街に飛び出して行った。

そして、街で演説を始めたのである。

どもりどもりしながらも、自分の思いを人々に大声で話した。

町行く人たちは皆、不思議そうに著者を見た。

しかし、そんなことはお構いなしである。

 

著者は、何度も何度も、演説を続けた。

すると、次第にどもらなくなってきた。

自分は、やればできるんだという気持ちが芽生えた。

すると、人前で話をするのが楽しくなってきた。

 

著者は市長に立候補し、見事に当選した。

演説の迫力が認められたのである。

そして著者は、自分のような人たちのために、修行道場を作った。

すなわち、皆の前で話をし、演説をする機会をどんどん与える場である。

著者は、そうして自分を苦しめたことを克服し、その経験を基に、人のために生きたのである。

 

私は、この本を読んで、強く頭を打たれた。

自分は今までいったい、何をやっていたのだろう。

苦しみから逃げることばかりを考えていた。

そんなことで治るわけはない。

よし、明日からがんばるぞ。